2008.03/10(Mon)

君に初恋、桜色。9−1

chapter9−1

【More・・・】

 石富と恋人同士になってから、時間が経つのがとても早く感じる。2人きりの時はむろんのこと、仕事中でさえ楽しくて、1日があっという間に過ぎてしまう。

 日常に、石富という要素が加わって、秋家の暮らしは一変した。

 仕事の時間に一緒なのは以前と変わらないが、それ以外の時間を常に一緒にいるようになった。秋家の家で同棲状態と言っていいくらい、石富は自分の家にほとんど帰っていない。

 たまに着替えを取りに帰ったりはするけれど、そういう時ですら秋家も一緒について行って、石富のにおいのするベッドで……ということもあった。

 店が休みの日には外でデートしたりもするが、だいたいは家にいて、一日中べったりとひっついたままいちゃいちゃしている。

 石富は、以前にも増して優しくなった。そして、意外にも恋愛体質のようで、恥ずかしくなるくらい、秋家をべたべたに甘やかしてくれる。
 
 クリスマス・イヴには、本当に驚かされた。
 ビックリするような豪華な手料理に、ケーキとシャンパン、それにキャンドルまで用意していて、部屋の電気を消してそれに火を灯し、照れながら2人で乾杯した。
 とてもありきたりだが、最高に素敵なクリスマスになった。

 石富がこんなにロマンチストだったとは思っていなかったが、してくれるその気持ちがすごく嬉しい。石富を恋人だと実感できて、愛されていると感じることができる。

 セックスにおいても、秋家の体のことを大事にしてくれて、翌日が仕事の日はあまり激しくされない。その代わり、定休日の前日は立てなくなるくらいにされてしまうのだけども……。そのおかげもあって、休みの日は家にいることが多くなってしまうのだった。

 たまに外でデートする時は、海に行った。
 今のような関係になる前、秋家は一度、サーフィンを見に海に連れて行ってもらったことがある。その時、石富は一緒にいた人達を、仲間だと言って秋家に紹介してくれた。その彼らに会いに行ったのだ。

 信じられないことに、彼らは冬の冷たい海に入り、サーフィンしていた。寒さが大の苦手の秋家からすれば考えられないことだったが、冬の方が海が空いているからいいのだそうだ。

 彼らは秋家のことを覚えてくれていたが、申し訳ないことに秋家の記憶は曖昧で、どの人に会っていてどの人が初対面なのか、大勢いたせいもあってわからなかった。

 昔から人に好かれる石富だが、彼は海でも友人が多い。特に、年下の子達には相当慕われているようで、ふざけて『兄貴』なんて呼ぶ若い男の子もいて、石富は『兄貴はやめてくれ』と笑っていた。

 中には女の人もいて、これは秋家だからわかるのかもしれなかったが、石富のこと好きなんだろうな、と思える女性もちらほらいた。石富と仲良く話している彼女らにちょっと嫉妬をしてしまったが、サーフィンの話は秋家には全くわからないので、寂しいけれど仕方がない、と見ないようにした。

 そして、波打際で仲間の姿を眺めていた石富に、「剣二はやらないの?」と聞いたら、「風邪引いたらシャレにならんだろう」と真顔で言われてしまい、石富の調理師としてのプロ意識の高さを、その時改めてよくわかった。石富は、冬の海には入ったことないのだそうだ。

 年が明けてからは、お互いの実家にも顔を出し合った。
 石富の母親は秋家をよく覚えてくれていて、高校の時と変わってないじゃないの、と背中を叩かれ、相当驚かれてしまった。

 そして、秋家の実家に石富と一緒に帰った時、母は、ものすごく嬉しそうな顔をしてくれた。この母には、自分の勝手な我が儘でいらぬ気苦労をかけたな、とその笑顔を見て反省し、そして息子達を『友達として仲直りした』と思っているであろう母に、とても後ろめたい気持ちになった。

 いつか、家族に話せる時がくるだろうか。
 孫の顔を見せてあげられなくて心底申し訳ないと思うけれど、許してもらえたらいいと思う。わかってくれたらいいと思う。
 
(ごめんね、父さん、母さん……)

 年が明けてからの1月2月は、寒さの厳しい日が続いた。寒がりの秋家は毎年つらい思いをしているのだが、今年は石富がいたから温かかった。抱き締めてくれて、好きだとキスをしてくれたら、心も体もほかほかと温かに満たされる。

 3月になって、気候が徐々に春のそれへと変化して、南から桜前線が北上し、そして4月。

 秋家は、どうしても石富と一緒に行きたい場所があった。一緒に、行ってほしい場所が。

「ねぇ、剣二。お願いがあるんだ」

 4月に入ってすぐ、秋家は石富にこう言った。

「なに?」
「あのね、いつもの休業日の4月7日なんだけど……予定、空けといてもらっていい……?」

 いつも一緒にいるから、休みの日に2人でいるのはもはや暗黙の了解なのだが、秋家はあえて石富の予定を確認した。
 石富は、何かすぐに気付いたのだろう。にこっと笑って一言、わかった、とだけ言ってくれた。

 4月7日。
 次郎の、8回目の命日。

 初めて、石富と2人で、西澤と次郎の墓に行こうと思う。

テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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Comment

●春立さま

いらっしゃいませ、春立さま♪

もちろんおおいばりで報告ですw
いつも1人で寂しい日を過ごしてましたから…(-o-;

ラブい甘エッチは私も大好きですw
そして石富の雄フェロモンに店長くらくらw(出てるのかな)

またお越しください♪
ありがとうございました(*^^*)
遠麗 | 2008.03.12(水) 00:28 | URL | コメント編集

●二度目ましてです!

今年は墓前でおおいばりで報告できますね!
秋家さんよかったね!

>石富のにおいのするベッドで
のところ、ぐっとくるシチュエーションですね!
ラブラブ甘々大好きですv-238
春立 | 2008.03.10(月) 23:49 | URL | コメント編集

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