2008.03/16(Sun)
君に初恋、桜色。9−4(完結)
chapter9−4(完結)
シートの上に重箱とタッパーを並べて蓋を開けたら、聖一以外の4人が目を輝かせて感嘆の声をあげた。
「……すげぇ」
そしてその後、聖一がぼそっと呟いた。
「おかずは全て石富シェフです。そしておにぎりは、わたくしが握りました」
秋家が正座してわざとうやうやしく説明すると、みんなぷっと吹き出しながらも、お〜すごいと賞賛の声をくれた。石富は、下を向いてくすくすと笑っている。
犬ならヨダレでも垂らしそうな勢いの若者5人にお預けをさせて、秋家は紙コップにお茶を注いでみんなに配り、店から持ってきたおしぼり、取り皿、割り箸を隣の晴希に「回してね」と言って順番に渡した。
「じゃあ、乾杯しようか」
秋家がそう言うと、みんな紙コップを持ってこちらを向く。秋家は1人1人の顔を順番に見ながら、日頃の感謝の気持ちを込めて挨拶をした。
「えっちゃん、優二郎くん、ハル君、いつもお仕事がんばってくれて、ありがとう。そして弥生ちゃんに聖一くん、いつも当店にご来店いただきまして、ありがとうございます」
そう言ってにこっと笑うと、弥生もふふ、と嬉しそうに笑った。聖一は、少し恥ずかしそうに軽く会釈してくれて、それを見た晴希の方が、楽しそうにニコニコ笑っている。
「そして、石富シェフ。毎日ろくに休憩も取らずに、ご苦労さまです。これからも、よろしくお願いします」
みんなには気付かれぬよう、特別な熱を込めて石富を見つめると、ふっと優しく目を細めて、見つめ返してくれた。秋家も目を細めて見せてから、晴希達の方に視線を戻す。
「さて、みんな早く食べたいだろうからね。じゃあ、乾杯!」
「かんぱーい!」
秋家の声に続いて、みんなが声を揃えると、紙コップを合わせて乾杯した。
「いただきます!」
若者5人は手を合わせ、一斉にお弁当に箸を伸ばす。
「………………」
そしてそれから繰り広げられた光景に、秋家は圧倒されて言葉が出なくなった。
秋家以外の6人の食欲たるや、普段食べさせてもらってないのか、と言いたくなるくらいに、それは見事な食べっぷりだった。
石富がよく食べるのはもう知っているが、それ以上とも思える高校生、大学生の食欲に、少食の秋家は見ているだけでお腹がいっぱいになりそうだった。
(動物園みたい……)
石富と聖一は、体が大きいのでまだ納得はできる。だが、痩せている木幡も、女の子のはずのえつみと弥生も、そしてこの小さな晴希まで、まぁよく食べる。
(車ならすごい燃費の悪さだね……)
一体晴希の体のどこに、摂取した栄養は吸収されているのだろう。
「ハル君、おにぎりおいしい?」
秋家が握ったツナマヨおにぎりを幸せそうに頬張る晴希に、秋家は問いかけてみた。
「あい、おいひいです!………店長おにぎり上手ですね!お母さんみたい」
もぐもぐと咀嚼しながらおいしいです、と言ってくれて、そして飲み込んでから上手ですね、と言ってくれたのはいいのだが――その後続いた一言に、石富がぐふっと吹き出し、それからたまらないというように腹を抱えて笑い出した。
「あはは…っ…そうか、ハル坊は秋家が17で産んだ子か」
石富の言葉に、晴希は顔を赤くして、言い間違いました!と慌てているが、他の子達は晴希の天然ぶりにげらげら笑っている。晴希の隣に座っている聖一も下を向いて肩を震わせていて、自分の恋人のボケた発言に笑いを堪えてるのかと思ったら、2人がとても微笑ましく、そしてとても可愛く見える。
「ハル君みたいな子供なら欲しいけどね、残念ながら俺が産んだんじゃないよ」
「もう、店長まで……」
秋家が石富のフリに合わせてそう返したら、晴希がぷぅと頬を膨らませて拗ねた。でもそれもほんのちょっとのことで、すぐに機嫌を直して卵焼きをニコニコ顔で食べていた。
そして、みんなが胃袋を満足させて、ごちそうさまでしたと箸を置いた時、あれだけたくさん作ったおかずも、かなり余るだろうと思ったおにぎりも、ほとんど無くなっていた。
(すごい……おにぎり、5つしか余ってない)
確かに、1個をそんなに大きくは握らなかったが、秋家が2つしか食べていないので、他の人は1人7個は食べていることになる。改めて彼らの胃袋の丈夫さに関心しつつ、秋家は重箱とタッパーの片付けをした。
お腹がいっぱいになった若者5人はじっとしていられなくなったようで、遊びに行くと言ってシートを離れていった。
晴希と聖一は池を見ながら何か話していて、えつみと弥生と木幡は3人できゃーきゃー言いながら、携帯で桜や菜の花の写真を撮ったりしている。
シートに残された30代2人は、魔法瓶に入れてきた温かい玄米茶を飲みながら、春の心地よい空気に浸っていた。
「あいつら見てると、自分がえらい年寄りに思えてくるな……」
「ふふ、まぁ実際、ハル君達とは20歳近く年違うわけだしね」
本当に親子でもおかしくないんだよね、などと話していると、突然強い風がぶわっと吹き上がった。散り始めの桜は、その風に一気に花びらを飛ばされ、まるで雪のようにひらひら空中を舞っている。木の下にシートを敷いていたので、秋家と石富の上に花びらがたくさん降ってきた。
「あ、お茶の中に入った」
秋家が飲んでいた玄米茶の中に、花びらが1枚落ちた。小さなそれは、熱いお茶の中でふにゃりと柔らかく縮む。
「これが酒ならもっといいのになぁ。あ、なお。髪にもついてる」
石富はそう言うと、秋家の髪の毛についていた花びらを取ってくれた。だがそういう石富の髪にも、少しパサついているからか、ずいぶんたくさん花びらが絡まっていた。
「剣二もついてるよ……結んできた方がよかったかな」
「お前が下ろしとけって言うからだろ……」
「はは、そうだね」
秋家は、石富が髪の毛を下ろしてる姿の方が好きなので、休みの日は結ばないでとお願いしている。だから今日も石富は髪の毛を下ろしているのだが、その姿を初めて見たバイトの子達に、『その方が若くてかっこいい』と褒められていた。
「でも、かっこいいって言われてよかったじゃない」
「……まぁ、かっこ悪いって言われるよりはましだけどよ」
本当は嬉しいくせに。秋家は笑いながら、髪の毛に絡まっている花びらを取ってあげる。
すると、ふっと懐かしい記憶が、秋家の脳裏によみがえった。
「そういえば、俺あの日も、剣二に花びら取ってもらったよね……覚えてる?」
「ああ、入学式の日な」
「え、覚えてるんだ」
「当たり前だろ。初めてお前と会った日だぞ」
「……うん、そうだね……」
今からちょうど、21年前の春。
中学校の入学式の日に、秋家と石富は初めて出会った。
入学式当日、秋家は小学校で仲の良かった友達と一緒に、ドキドキと胸を高鳴らせながら、桜の舞い散る新しい学び舎の門をくぐった。だが残念ながら、その友達とはクラスが離れてしまい、心細くも1人で、決められた1年4組の教室に入ったのだ。
教室内を見回すと、同じ小学校の人間は何人かいたが、知っている程度で仲がいいわけでもなかったので、誰にも声はかけなかった。机に番号を書いた紙が貼ってあり、秋家は窓際の1番前の、『1番』と書かれた紙が貼ってある机に座って、ぼんやりしていた。
しばらくそうしてぼーっとしていたら、ふわっと誰かに髪を撫でられた気がして、秋家はくるりと後ろを向いた。すると、指に花びらを摘んだ坊主頭の少年が、ニコニコ笑って『ついてたぜ』と言った。
それが出席番号2番、石富との出会いだった。
「あの時の剣二、坊主頭で可愛かったよね」
「今が可愛くないみたいに言うな。なんなら今、坊主にしてやろうか?」
「いや!それはやめて……!」
「アホ、冗談だ。それにしても、あの時はマジでビビッたぜ。俺はお前が振り向いた瞬間、女子が学ラン着てるのかと思ったからな」
「はは……」
秋家は子供の時、本当に女の子のような容姿をしていた。学ランが似合わなくて、それを言われるのがすごく嫌だった覚えがある。成長するにつれて女顔もマシになってはいったけれど、それでも秋家を形容する言葉は、今でも女性に対するそれの方が明らかに多い。
「俺はね、あの時剣二を好きになったんだよ。可愛い坊主頭の男の子に、恋したんだ。恋愛感情だって気付いたのは、2年になってからだけどね」
にこっと笑って石富を見ると、思いきり照れた顔をして、バーカと言ってぷいとそっぽを向いた。そして、シートにたくさん落ちている桜の花びらを1枚摘むと、それを顔の前にかざし、まるで独り言のように、花びらを見ながら呟いた。
「……俺も、あの時かもな……頭に花びらなんかつけて、どんなやつかと思ったら、すんげぇ可愛い顔がこっち向いてよ……あの時と今と、気持ち変わってねーと思うし。本当に、気付いてないだけだったんだな……」
石富は摘んでいた花びらを、フッと息で吹き飛ばした。そして秋家の目を見つめて、優しく微笑む。
「お互い、初恋だな」
「………そう、だね、初恋だね」
秋家は、少し涙ぐんだ目で微笑んだ。
石富はそれを見て、困ったような顔をして秋家の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
「ごめん……」
「ここじゃ触るのも限界あんだからよ……帰るまで我慢しろ。帰ってから色々してやるから、な」
そして耳元で、わざと色を含んだような声でそんなことを言われ、秋家は顔を真っ赤にして手を振り上げた。
「も、バカ……っ」
石富はは、と笑うと、立ち上がって靴を履き、ハル坊からかってくる、と言って池の方に逃げて行った。
その後ろ姿を見ながら、どこまでも湧き上がる愛しさに、秋家は胸をときめかせる。そして、この奇跡のような初恋に、身が震えるほどの喜びを感じた。
だからその背中に、秋家は語りかける。
この喜びを、幸せをくれたあの人に、強く、ありったけの想いを込めて。
(大好きだよ、剣二。そして俺を好きになってくれて、ありがとう。これからもずっと、好きでいてね)
花びらをのせた春風が、秋家の髪を優しく揺らした。
その甘い匂いに、目を閉じれば浮かんでくる、坊主頭の、君の姿。
――あの日君に出会って、恋をしました。
それはいつまでも色褪せない、桜色の季節のことです。
〜The End〜
【More・・・】
「うわぁ〜すごい!」シートの上に重箱とタッパーを並べて蓋を開けたら、聖一以外の4人が目を輝かせて感嘆の声をあげた。
「……すげぇ」
そしてその後、聖一がぼそっと呟いた。
「おかずは全て石富シェフです。そしておにぎりは、わたくしが握りました」
秋家が正座してわざとうやうやしく説明すると、みんなぷっと吹き出しながらも、お〜すごいと賞賛の声をくれた。石富は、下を向いてくすくすと笑っている。
犬ならヨダレでも垂らしそうな勢いの若者5人にお預けをさせて、秋家は紙コップにお茶を注いでみんなに配り、店から持ってきたおしぼり、取り皿、割り箸を隣の晴希に「回してね」と言って順番に渡した。
「じゃあ、乾杯しようか」
秋家がそう言うと、みんな紙コップを持ってこちらを向く。秋家は1人1人の顔を順番に見ながら、日頃の感謝の気持ちを込めて挨拶をした。
「えっちゃん、優二郎くん、ハル君、いつもお仕事がんばってくれて、ありがとう。そして弥生ちゃんに聖一くん、いつも当店にご来店いただきまして、ありがとうございます」
そう言ってにこっと笑うと、弥生もふふ、と嬉しそうに笑った。聖一は、少し恥ずかしそうに軽く会釈してくれて、それを見た晴希の方が、楽しそうにニコニコ笑っている。
「そして、石富シェフ。毎日ろくに休憩も取らずに、ご苦労さまです。これからも、よろしくお願いします」
みんなには気付かれぬよう、特別な熱を込めて石富を見つめると、ふっと優しく目を細めて、見つめ返してくれた。秋家も目を細めて見せてから、晴希達の方に視線を戻す。
「さて、みんな早く食べたいだろうからね。じゃあ、乾杯!」
「かんぱーい!」
秋家の声に続いて、みんなが声を揃えると、紙コップを合わせて乾杯した。
「いただきます!」
若者5人は手を合わせ、一斉にお弁当に箸を伸ばす。
「………………」
そしてそれから繰り広げられた光景に、秋家は圧倒されて言葉が出なくなった。
秋家以外の6人の食欲たるや、普段食べさせてもらってないのか、と言いたくなるくらいに、それは見事な食べっぷりだった。
石富がよく食べるのはもう知っているが、それ以上とも思える高校生、大学生の食欲に、少食の秋家は見ているだけでお腹がいっぱいになりそうだった。
(動物園みたい……)
石富と聖一は、体が大きいのでまだ納得はできる。だが、痩せている木幡も、女の子のはずのえつみと弥生も、そしてこの小さな晴希まで、まぁよく食べる。
(車ならすごい燃費の悪さだね……)
一体晴希の体のどこに、摂取した栄養は吸収されているのだろう。
「ハル君、おにぎりおいしい?」
秋家が握ったツナマヨおにぎりを幸せそうに頬張る晴希に、秋家は問いかけてみた。
「あい、おいひいです!………店長おにぎり上手ですね!お母さんみたい」
もぐもぐと咀嚼しながらおいしいです、と言ってくれて、そして飲み込んでから上手ですね、と言ってくれたのはいいのだが――その後続いた一言に、石富がぐふっと吹き出し、それからたまらないというように腹を抱えて笑い出した。
「あはは…っ…そうか、ハル坊は秋家が17で産んだ子か」
石富の言葉に、晴希は顔を赤くして、言い間違いました!と慌てているが、他の子達は晴希の天然ぶりにげらげら笑っている。晴希の隣に座っている聖一も下を向いて肩を震わせていて、自分の恋人のボケた発言に笑いを堪えてるのかと思ったら、2人がとても微笑ましく、そしてとても可愛く見える。
「ハル君みたいな子供なら欲しいけどね、残念ながら俺が産んだんじゃないよ」
「もう、店長まで……」
秋家が石富のフリに合わせてそう返したら、晴希がぷぅと頬を膨らませて拗ねた。でもそれもほんのちょっとのことで、すぐに機嫌を直して卵焼きをニコニコ顔で食べていた。
そして、みんなが胃袋を満足させて、ごちそうさまでしたと箸を置いた時、あれだけたくさん作ったおかずも、かなり余るだろうと思ったおにぎりも、ほとんど無くなっていた。
(すごい……おにぎり、5つしか余ってない)
確かに、1個をそんなに大きくは握らなかったが、秋家が2つしか食べていないので、他の人は1人7個は食べていることになる。改めて彼らの胃袋の丈夫さに関心しつつ、秋家は重箱とタッパーの片付けをした。
お腹がいっぱいになった若者5人はじっとしていられなくなったようで、遊びに行くと言ってシートを離れていった。
晴希と聖一は池を見ながら何か話していて、えつみと弥生と木幡は3人できゃーきゃー言いながら、携帯で桜や菜の花の写真を撮ったりしている。
シートに残された30代2人は、魔法瓶に入れてきた温かい玄米茶を飲みながら、春の心地よい空気に浸っていた。
「あいつら見てると、自分がえらい年寄りに思えてくるな……」
「ふふ、まぁ実際、ハル君達とは20歳近く年違うわけだしね」
本当に親子でもおかしくないんだよね、などと話していると、突然強い風がぶわっと吹き上がった。散り始めの桜は、その風に一気に花びらを飛ばされ、まるで雪のようにひらひら空中を舞っている。木の下にシートを敷いていたので、秋家と石富の上に花びらがたくさん降ってきた。
「あ、お茶の中に入った」
秋家が飲んでいた玄米茶の中に、花びらが1枚落ちた。小さなそれは、熱いお茶の中でふにゃりと柔らかく縮む。
「これが酒ならもっといいのになぁ。あ、なお。髪にもついてる」
石富はそう言うと、秋家の髪の毛についていた花びらを取ってくれた。だがそういう石富の髪にも、少しパサついているからか、ずいぶんたくさん花びらが絡まっていた。
「剣二もついてるよ……結んできた方がよかったかな」
「お前が下ろしとけって言うからだろ……」
「はは、そうだね」
秋家は、石富が髪の毛を下ろしてる姿の方が好きなので、休みの日は結ばないでとお願いしている。だから今日も石富は髪の毛を下ろしているのだが、その姿を初めて見たバイトの子達に、『その方が若くてかっこいい』と褒められていた。
「でも、かっこいいって言われてよかったじゃない」
「……まぁ、かっこ悪いって言われるよりはましだけどよ」
本当は嬉しいくせに。秋家は笑いながら、髪の毛に絡まっている花びらを取ってあげる。
すると、ふっと懐かしい記憶が、秋家の脳裏によみがえった。
「そういえば、俺あの日も、剣二に花びら取ってもらったよね……覚えてる?」
「ああ、入学式の日な」
「え、覚えてるんだ」
「当たり前だろ。初めてお前と会った日だぞ」
「……うん、そうだね……」
今からちょうど、21年前の春。
中学校の入学式の日に、秋家と石富は初めて出会った。
入学式当日、秋家は小学校で仲の良かった友達と一緒に、ドキドキと胸を高鳴らせながら、桜の舞い散る新しい学び舎の門をくぐった。だが残念ながら、その友達とはクラスが離れてしまい、心細くも1人で、決められた1年4組の教室に入ったのだ。
教室内を見回すと、同じ小学校の人間は何人かいたが、知っている程度で仲がいいわけでもなかったので、誰にも声はかけなかった。机に番号を書いた紙が貼ってあり、秋家は窓際の1番前の、『1番』と書かれた紙が貼ってある机に座って、ぼんやりしていた。
しばらくそうしてぼーっとしていたら、ふわっと誰かに髪を撫でられた気がして、秋家はくるりと後ろを向いた。すると、指に花びらを摘んだ坊主頭の少年が、ニコニコ笑って『ついてたぜ』と言った。
それが出席番号2番、石富との出会いだった。
「あの時の剣二、坊主頭で可愛かったよね」
「今が可愛くないみたいに言うな。なんなら今、坊主にしてやろうか?」
「いや!それはやめて……!」
「アホ、冗談だ。それにしても、あの時はマジでビビッたぜ。俺はお前が振り向いた瞬間、女子が学ラン着てるのかと思ったからな」
「はは……」
秋家は子供の時、本当に女の子のような容姿をしていた。学ランが似合わなくて、それを言われるのがすごく嫌だった覚えがある。成長するにつれて女顔もマシになってはいったけれど、それでも秋家を形容する言葉は、今でも女性に対するそれの方が明らかに多い。
「俺はね、あの時剣二を好きになったんだよ。可愛い坊主頭の男の子に、恋したんだ。恋愛感情だって気付いたのは、2年になってからだけどね」
にこっと笑って石富を見ると、思いきり照れた顔をして、バーカと言ってぷいとそっぽを向いた。そして、シートにたくさん落ちている桜の花びらを1枚摘むと、それを顔の前にかざし、まるで独り言のように、花びらを見ながら呟いた。
「……俺も、あの時かもな……頭に花びらなんかつけて、どんなやつかと思ったら、すんげぇ可愛い顔がこっち向いてよ……あの時と今と、気持ち変わってねーと思うし。本当に、気付いてないだけだったんだな……」
石富は摘んでいた花びらを、フッと息で吹き飛ばした。そして秋家の目を見つめて、優しく微笑む。
「お互い、初恋だな」
「………そう、だね、初恋だね」
秋家は、少し涙ぐんだ目で微笑んだ。
石富はそれを見て、困ったような顔をして秋家の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
「ごめん……」
「ここじゃ触るのも限界あんだからよ……帰るまで我慢しろ。帰ってから色々してやるから、な」
そして耳元で、わざと色を含んだような声でそんなことを言われ、秋家は顔を真っ赤にして手を振り上げた。
「も、バカ……っ」
石富はは、と笑うと、立ち上がって靴を履き、ハル坊からかってくる、と言って池の方に逃げて行った。
その後ろ姿を見ながら、どこまでも湧き上がる愛しさに、秋家は胸をときめかせる。そして、この奇跡のような初恋に、身が震えるほどの喜びを感じた。
だからその背中に、秋家は語りかける。
この喜びを、幸せをくれたあの人に、強く、ありったけの想いを込めて。
(大好きだよ、剣二。そして俺を好きになってくれて、ありがとう。これからもずっと、好きでいてね)
花びらをのせた春風が、秋家の髪を優しく揺らした。
その甘い匂いに、目を閉じれば浮かんでくる、坊主頭の、君の姿。
――あの日君に出会って、恋をしました。
それはいつまでも色褪せない、桜色の季節のことです。
〜The End〜
●米神さま
遠麗 | 2008.03.17(月) 20:54 | URL | コメント編集
●唯香さま
いらっしゃいませ♪
そしていつもありがとうございます。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。
いえいえ、すごくなんかないのですよ〜(@Д@; ・・・
おかしな箇所発見してしまって、変な汗出ましたし…ww
他にもちょっと書ききれてないとこがあるので、それはこの後のSSで書くことにします…><
本編できちんとまとめきれない力の無さに反省しきりです。。。
石富の坊主気に入っていただけて嬉しいですw
ちなみに五分刈り♪
現在次回作のネタ捻出中……
番外編も次回作もなんとかがんばります><
ありがとうございました(*^^*)
また遊びに来てくださいね♪
そしていつもありがとうございます。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。
いえいえ、すごくなんかないのですよ〜(@Д@; ・・・
おかしな箇所発見してしまって、変な汗出ましたし…ww
他にもちょっと書ききれてないとこがあるので、それはこの後のSSで書くことにします…><
本編できちんとまとめきれない力の無さに反省しきりです。。。
石富の坊主気に入っていただけて嬉しいですw
ちなみに五分刈り♪
現在次回作のネタ捻出中……
番外編も次回作もなんとかがんばります><
ありがとうございました(*^^*)
また遊びに来てくださいね♪
遠麗 | 2008.03.17(月) 20:49 | URL | コメント編集
●
まずは完結おめでとうございます!
読んでいて何だかとっても幸せな気持ちになりました(*´▽`*)
最後の一文(あの日君に出会って〜)がまたすごく甘酸っぱいというか・・・本当にキュンときました。
オマケSSとキリリクSSの方も楽しみにしてますね♪
では失礼いたします(^▽^)
読んでいて何だかとっても幸せな気持ちになりました(*´▽`*)
最後の一文(あの日君に出会って〜)がまたすごく甘酸っぱいというか・・・本当にキュンときました。
オマケSSとキリリクSSの方も楽しみにしてますね♪
では失礼いたします(^▽^)
●お疲れ様でしたvv
完結おめでとうございます〜vv
これだけの長い小説を、きちんとまとめあげられて、改めて凄いな〜とvv本当にお疲れ様でございましたm(__)m
剣二の坊主頭にキュンキュンしている変態ですが…なにか?(笑)
なにはともあれ、大山越えてのハッピーエンド♪2人ともおめでと〜〜vv
そして遠麗様!素敵なお話をありがとうございましたm(__)m
番外編&次回作も楽しみにしておりますvvご無理のない程度にお願いいたします♪
これだけの長い小説を、きちんとまとめあげられて、改めて凄いな〜とvv本当にお疲れ様でございましたm(__)m
剣二の坊主頭にキュンキュンしている変態ですが…なにか?(笑)
なにはともあれ、大山越えてのハッピーエンド♪2人ともおめでと〜〜vv
そして遠麗様!素敵なお話をありがとうございましたm(__)m
番外編&次回作も楽しみにしておりますvvご無理のない程度にお願いいたします♪
水城 | 2008.03.17(月) 01:07 | URL | コメント編集
●れおんさま
いらっしゃいませ〜♪
昨日あった『とっても嫌なこと』とは、もしかして私と同じですかな?w
ねぇ……・゚・(ノД`)
とりあえず無事に本編終了です。
あとは番外編をがんばります!
またお越しくださいませ♪
昨日あった『とっても嫌なこと』とは、もしかして私と同じですかな?w
ねぇ……・゚・(ノД`)
とりあえず無事に本編終了です。
あとは番外編をがんばります!
またお越しくださいませ♪
遠麗 | 2008.03.16(日) 22:11 | URL | コメント編集
●春立さま
いつも温かいお言葉ありがとうございます(^-^)
無事終了させることができました☆
これも読んでくださっている方の励ましのおかげです。
人の心は温かいと身をもって感じることができました(>_<;)
次回作もがんばりますので、よろしければまた遊びに来てくださいね(*^^*)
ありがとうございました☆
無事終了させることができました☆
これも読んでくださっている方の励ましのおかげです。
人の心は温かいと身をもって感じることができました(>_<;)
次回作もがんばりますので、よろしければまた遊びに来てくださいね(*^^*)
ありがとうございました☆
遠麗 | 2008.03.16(日) 21:59 | URL | コメント編集
●完結おめでとうございます♪
はぁ…。
なんか、今とっても胸がいっぱいです☆ハッピーなエンディングで私もちょっとテンションが上がりました♪(すいません、昨日とってもいやなことがあったので…★)
キリリクSSも楽しみです!これからも頑張ってくださいね(^_-)-☆
なんか、今とっても胸がいっぱいです☆ハッピーなエンディングで私もちょっとテンションが上がりました♪(すいません、昨日とってもいやなことがあったので…★)
キリリクSSも楽しみです!これからも頑張ってくださいね(^_-)-☆
れおん | 2008.03.16(日) 14:38 | URL | コメント編集
●初恋!
こんにちは!初恋、いいですねー!
今回、あんまり幸せそうでちょっぴり切なくなりました。
忙しくってもお花見行きたい気分です!
身体ご自愛されつつ、頑張ってくださいね^^
今回、あんまり幸せそうでちょっぴり切なくなりました。
忙しくってもお花見行きたい気分です!
身体ご自愛されつつ、頑張ってくださいね^^
春立 | 2008.03.16(日) 10:17 | URL | コメント編集
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無事終了しました(^-^)
最後の一文はちょっと恥ずかしかったんですが、可愛く終わらせてみましたw
なんか乙女っぽいな。。。w
番外編もがんばりますので、また遊びに来てください♪
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました(*^^*)