2007.12/25(Tue)
君に初恋、桜色。1−1 (18禁)
chapter1−1 ※18禁
「なぁ、あんたほんとに30過ぎてんの?体、すごいんだけど」
3時間ほど前に知り合ったばかりの男は、仰向けに寝る自分に乗りあがって腰を振る秋家の、腰骨の辺りを手で撫で回し、陶酔したように呟く。
「まぁでもあんた美人だし、色々経験してんだろ?逆に納得って気もするけどね」
よくしゃべる、と秋家は少々うんざりした気分になった。セックスにおいて会話など必要ないと思っているから、ことの最中にあまりしゃべられると気が萎えそうになる。美人だとかきれいだとか言われることに悪い気はしないが、傲慢にもその褒め言葉に慣れてしまっている秋家は、今更特に、嬉しく思うこともなかった。
「……ねぇ、若いんだから、動いてよ」
「はは、そりゃそうだ。あんたがすごいから忘れてたよ。じゃあ……」
「あっ……ん、あぁ……」
ぐっ、と下から突き上げられ、秋家は声を上げた。
今日は東京まで足を伸ばし、久しぶりに2丁目まで来た。そこで今夜の相手となったこの男に声をかけられ、一緒に酒を飲んだ。聞けば24歳と、秋家より9つも年下だったが、見た目がまぁまぁ良かったので、秋家の腰に手を回しながらベッドへ誘う男にいいよ、と返事をした。
わりと背も高く顔もそこそこタイプであるが、秋家が誘いを受けた最大の理由は、他にあった。
「あ、あ……あっ……」
「すげー、あんた、マジたまんねぇ……!」
男はがばっと起き上がり秋家を抱き締め、唇にキスをしてきた。秋家はその瞬間顔を背けようとしたが、がっちりと抱き締められて顔を押さえられ、無理矢理舌を入れてこられてはとても、嫌がることは難しかった。
セックスはできる。でもキスは、あまりしたくない。秋家はずっと、昔からそうだった。誰かに声をかけられたら、よほど嫌でない限り誘いがあれば応じる。でも、できるだけキスからは逃げた。体はよくても、なぜか唇を合わせることには嫌悪を感じて、流れ上仕方ない場合は我慢しても、あえてしたくはない。
口の中を散々舐め回された後、唇を解放された秋家は、またされたらかなわないとしがみつくように男に抱きついた。
「……ねぇ、お願いあるんだけど……」
男の耳元に唇を寄せ、自分で気持ち悪いと思うくらい、甘えた声を出す。
「なに?なんでもどーぞ」
男は秋家の尻を鷲掴みにして、ゆさゆさと揺すり上げる。あ、あ、とあえぎ声を上げる合間に、秋家は『お願い』を口にした。
「名前、呼んでい……?」
「名前?いーけど……なに?名前呼びながらすると感じるタイプ?」
そうじゃない、と思ったが口には出さず、秋家はぎゅっと目を閉じた。そして思い浮かべるのは、20年、片想いしている男の顔。
(笑顔がいい…?それとも仕事中がいいかな…やっぱり、海から上がってきた時……?)
目を閉じたままの秋家の脳裏に姿を現すのは、ウェットスーツに身を包み、サーフボードを抱え海から上がってきた、初恋の相手。
「ケンジ、ケンジ……!」
浜辺に座っている秋家を見て、日に焼けて茶色い髪をかき上げながら、にかっと眩しく笑う。あの笑顔が、秋家は好きでたまらない。
ぎゅうっときつく目を閉じたまま、思考を海へと飛ばす。思い出して、今自分を抱いているのはあのサーファーなのだ、とトリップしそうになった秋家を、現実に戻す、男の声。
「なんなの、名前呼んだらすげぇ締まるじゃん。俺の名前そんなにいい?」
黙れ、と秋家は思った。せっかく、気持ちよく飛べそうだったのに。
違う声に呼び戻されて、秋家はイラついた。だが確かに、この男の誘いを受けた1番の理由は、『ケンジ』という名前だったから、というバカみたいな理由なので、あながちこの男の言うことも間違ってはいない。
「そうだね、イイ名前…もっと呼んでいい?……もうしゃべんないでいいから、もっと突いてよ」
「あんたほんと、めちゃくちゃエロい……」
それから、色々体位を変えられながら若い男に貪られた。その間秋家は、いつものことだができるだけ目を閉じた状態で、自分を抱く男の顔を見ないように努める。『ケンジ』と名を呼ぶことで、本人には絶対に抱かれることのない自分を慰めるかのように、セックスに溺れる。
とりわけバックで挿入された時は、相手が見えないから想像に集中できて、ひどく興奮した。
(剣二、剣二……!)
叶うことのない想いを20年も捨てきれず、この年になってまだこんなことをしている自分は、なんて浅はかで見苦しく、そしてなんて、かわいそうなんだろう。
ゆきずりの男といくらセックスしようが、満足など得られないことなど嫌というほどわかっている。だが秋家は、他に方法を見つけられない。
どんなに足掻こうが、想いが報われることはない。しかしどうやったって、この初恋が消えてくれることもない。
どうしたらいいのかわからず、気がつけば33歳にもなっていて、一体自分は何をやっているんだ、と思わないことが最近はないくらいなのに。それなのに今またこうして、若い男に抱かれて喜んでいる。
そして行為が終わった後は、ひどい寂寥感と罪悪感に襲われて、さらに虚しさが増す。こんなことをずっと繰り返してきたものだから、秋家の心は乾いている。何もかも、諦めている。
「先シャワーするから」
男は、ベッドに力なく横たわる秋家に一言声をかけ、バスルームに向かった。残された秋家は目を閉じたまま、はぁ、はぁとゆっくり呼吸を整えた。
(ほんともう、若くない……疲れた……)
若い時はこれくらいなんてことなかったはずだけど、さすがにもう24歳の男の性欲には付き合いきれない。悪いけど、この青年とは今夜限りだ、と思った秋家は、バスルームから戻った彼と交替でシャワーをあびた。
服を着て部屋を出る間際、若い彼は秋家の手を握り、また会ってほしい、と言ってきた。
「俺もう33だよ?君はまだ若いんだし、もっと若い子と付き合った方がいいと思うよ」
「年なんて関係ねーじゃん。俺あんたのことすげー気に入った。ねぇ、また会ってよ。いいだろ?ケーバン教えてくれないと帰さねーよ」
そう言うと細い手首を掴み、部屋の中へぐいっと引き戻す。秋家は困ったが、この手のタイプはおそらく何を言っても相手の言うことは聞かず、しつこく断るとキレることが多い。ここは大人しく携帯番号だけ教えて、かかってきたら無視するのが一番だと思った。
「わかったよ、携帯番号教えるから」
「やった!絶対かけるから」
弱ったな、と思ったが、教えてしまったものは仕方ない。なんだか少し面倒になりそうな嫌な予感がしたが、とりあえず考えないことにして部屋を出る。
帰り際、不意をつかれて唇にキスをされ、嬉しそうに笑って手を振りながら帰る彼の姿に、少しだけ心が痛んだ。
(こんなおじさんに、本気になっちゃだめだよ……)
これが単なる思い上がりならいいのだけれど。
杞憂ですめばいい、そう思う秋家だが、過去を振り返ればそう簡単にスルーできる話でもなく、寒さの増した夜の街を歩きながら、秋家はため息をついた。
【More・・・】
ギシギシと安いベッドのスプリングが軋む音と、女のようにあえぐ男の声が、古いラブホテルの一室に響いている。安くて古い、衛生的にもあまりよろしくなさそうなこんな場所で、男に抱かれてあえぐ己の声を聞きながら、自分にはお似合いだ、と秋家(あきや)尚和(なおかず)は自嘲気味に思った。「なぁ、あんたほんとに30過ぎてんの?体、すごいんだけど」
3時間ほど前に知り合ったばかりの男は、仰向けに寝る自分に乗りあがって腰を振る秋家の、腰骨の辺りを手で撫で回し、陶酔したように呟く。
「まぁでもあんた美人だし、色々経験してんだろ?逆に納得って気もするけどね」
よくしゃべる、と秋家は少々うんざりした気分になった。セックスにおいて会話など必要ないと思っているから、ことの最中にあまりしゃべられると気が萎えそうになる。美人だとかきれいだとか言われることに悪い気はしないが、傲慢にもその褒め言葉に慣れてしまっている秋家は、今更特に、嬉しく思うこともなかった。
「……ねぇ、若いんだから、動いてよ」
「はは、そりゃそうだ。あんたがすごいから忘れてたよ。じゃあ……」
「あっ……ん、あぁ……」
ぐっ、と下から突き上げられ、秋家は声を上げた。
今日は東京まで足を伸ばし、久しぶりに2丁目まで来た。そこで今夜の相手となったこの男に声をかけられ、一緒に酒を飲んだ。聞けば24歳と、秋家より9つも年下だったが、見た目がまぁまぁ良かったので、秋家の腰に手を回しながらベッドへ誘う男にいいよ、と返事をした。
わりと背も高く顔もそこそこタイプであるが、秋家が誘いを受けた最大の理由は、他にあった。
「あ、あ……あっ……」
「すげー、あんた、マジたまんねぇ……!」
男はがばっと起き上がり秋家を抱き締め、唇にキスをしてきた。秋家はその瞬間顔を背けようとしたが、がっちりと抱き締められて顔を押さえられ、無理矢理舌を入れてこられてはとても、嫌がることは難しかった。
セックスはできる。でもキスは、あまりしたくない。秋家はずっと、昔からそうだった。誰かに声をかけられたら、よほど嫌でない限り誘いがあれば応じる。でも、できるだけキスからは逃げた。体はよくても、なぜか唇を合わせることには嫌悪を感じて、流れ上仕方ない場合は我慢しても、あえてしたくはない。
口の中を散々舐め回された後、唇を解放された秋家は、またされたらかなわないとしがみつくように男に抱きついた。
「……ねぇ、お願いあるんだけど……」
男の耳元に唇を寄せ、自分で気持ち悪いと思うくらい、甘えた声を出す。
「なに?なんでもどーぞ」
男は秋家の尻を鷲掴みにして、ゆさゆさと揺すり上げる。あ、あ、とあえぎ声を上げる合間に、秋家は『お願い』を口にした。
「名前、呼んでい……?」
「名前?いーけど……なに?名前呼びながらすると感じるタイプ?」
そうじゃない、と思ったが口には出さず、秋家はぎゅっと目を閉じた。そして思い浮かべるのは、20年、片想いしている男の顔。
(笑顔がいい…?それとも仕事中がいいかな…やっぱり、海から上がってきた時……?)
目を閉じたままの秋家の脳裏に姿を現すのは、ウェットスーツに身を包み、サーフボードを抱え海から上がってきた、初恋の相手。
「ケンジ、ケンジ……!」
浜辺に座っている秋家を見て、日に焼けて茶色い髪をかき上げながら、にかっと眩しく笑う。あの笑顔が、秋家は好きでたまらない。
ぎゅうっときつく目を閉じたまま、思考を海へと飛ばす。思い出して、今自分を抱いているのはあのサーファーなのだ、とトリップしそうになった秋家を、現実に戻す、男の声。
「なんなの、名前呼んだらすげぇ締まるじゃん。俺の名前そんなにいい?」
黙れ、と秋家は思った。せっかく、気持ちよく飛べそうだったのに。
違う声に呼び戻されて、秋家はイラついた。だが確かに、この男の誘いを受けた1番の理由は、『ケンジ』という名前だったから、というバカみたいな理由なので、あながちこの男の言うことも間違ってはいない。
「そうだね、イイ名前…もっと呼んでいい?……もうしゃべんないでいいから、もっと突いてよ」
「あんたほんと、めちゃくちゃエロい……」
それから、色々体位を変えられながら若い男に貪られた。その間秋家は、いつものことだができるだけ目を閉じた状態で、自分を抱く男の顔を見ないように努める。『ケンジ』と名を呼ぶことで、本人には絶対に抱かれることのない自分を慰めるかのように、セックスに溺れる。
とりわけバックで挿入された時は、相手が見えないから想像に集中できて、ひどく興奮した。
(剣二、剣二……!)
叶うことのない想いを20年も捨てきれず、この年になってまだこんなことをしている自分は、なんて浅はかで見苦しく、そしてなんて、かわいそうなんだろう。
ゆきずりの男といくらセックスしようが、満足など得られないことなど嫌というほどわかっている。だが秋家は、他に方法を見つけられない。
どんなに足掻こうが、想いが報われることはない。しかしどうやったって、この初恋が消えてくれることもない。
どうしたらいいのかわからず、気がつけば33歳にもなっていて、一体自分は何をやっているんだ、と思わないことが最近はないくらいなのに。それなのに今またこうして、若い男に抱かれて喜んでいる。
そして行為が終わった後は、ひどい寂寥感と罪悪感に襲われて、さらに虚しさが増す。こんなことをずっと繰り返してきたものだから、秋家の心は乾いている。何もかも、諦めている。
「先シャワーするから」
男は、ベッドに力なく横たわる秋家に一言声をかけ、バスルームに向かった。残された秋家は目を閉じたまま、はぁ、はぁとゆっくり呼吸を整えた。
(ほんともう、若くない……疲れた……)
若い時はこれくらいなんてことなかったはずだけど、さすがにもう24歳の男の性欲には付き合いきれない。悪いけど、この青年とは今夜限りだ、と思った秋家は、バスルームから戻った彼と交替でシャワーをあびた。
服を着て部屋を出る間際、若い彼は秋家の手を握り、また会ってほしい、と言ってきた。
「俺もう33だよ?君はまだ若いんだし、もっと若い子と付き合った方がいいと思うよ」
「年なんて関係ねーじゃん。俺あんたのことすげー気に入った。ねぇ、また会ってよ。いいだろ?ケーバン教えてくれないと帰さねーよ」
そう言うと細い手首を掴み、部屋の中へぐいっと引き戻す。秋家は困ったが、この手のタイプはおそらく何を言っても相手の言うことは聞かず、しつこく断るとキレることが多い。ここは大人しく携帯番号だけ教えて、かかってきたら無視するのが一番だと思った。
「わかったよ、携帯番号教えるから」
「やった!絶対かけるから」
弱ったな、と思ったが、教えてしまったものは仕方ない。なんだか少し面倒になりそうな嫌な予感がしたが、とりあえず考えないことにして部屋を出る。
帰り際、不意をつかれて唇にキスをされ、嬉しそうに笑って手を振りながら帰る彼の姿に、少しだけ心が痛んだ。
(こんなおじさんに、本気になっちゃだめだよ……)
これが単なる思い上がりならいいのだけれど。
杞憂ですめばいい、そう思う秋家だが、過去を振り返ればそう簡単にスルーできる話でもなく、寒さの増した夜の街を歩きながら、秋家はため息をついた。
●ばーどさま
遠麗 | 2008.02.19(火) 04:16 | URL | コメント編集
●
こんにちは、とりあたま・ばーどです。
とりあたまなので、小説は一気読みがいいと
思った私が間違いでした。
で、追いつきましたよ(^-^;ってまだ入り口ですが。
やったねアダルト編ですね。失礼ながら
高校生カプを読みつつ店長が気になって気になって(笑)
楽しませていただきます ̄ー ̄)ノ))))))))
とりあたまなので、小説は一気読みがいいと
思った私が間違いでした。
で、追いつきましたよ(^-^;ってまだ入り口ですが。
やったねアダルト編ですね。失礼ながら
高校生カプを読みつつ店長が気になって気になって(笑)
楽しませていただきます ̄ー ̄)ノ))))))))
●唯香さま
うわぁっ唯香さま、いらっしゃいませ〜(^-^*)♪
お忙しいところありがとうございます!
やっとこさ前作が終わりまして、今回はキャラ年齢一気にアップですww
店長のお相手はもちろんコックですが、色々揉めます、というか揉ませますw
また長くなるかもしれませんが、お付き合いくださいませね♪
私も伺いますね〜…というかちょこちょこ行ってるんですけどね( ̄m ̄* )w
ありがとうございました、またいらしてください☆
お忙しいところありがとうございます!
やっとこさ前作が終わりまして、今回はキャラ年齢一気にアップですww
店長のお相手はもちろんコックですが、色々揉めます、というか揉ませますw
また長くなるかもしれませんが、お付き合いくださいませね♪
私も伺いますね〜…というかちょこちょこ行ってるんですけどね( ̄m ̄* )w
ありがとうございました、またいらしてください☆
遠麗 | 2007.12.16(日) 21:22 | URL | コメント編集
●うわ〜うわ〜うわ〜vvv
こんにちは〜☆お久しぶりでございます。
コメントタイトルからやかましくて申し訳ございませんm(__)m
まずは、『あの日の君と風鈴の音』、遅らばせながら完結おめでとうございます♪
最後に2人が幸せになれて、私まで幸せのお裾分けをいただいた気分で嬉しくなっちゃいましたvv
そして、重ねて新連載の始動お疲れ様でございます。
店長さん編!読んで思わず興奮!!
この初恋の君ってのは、もしかしなくても私が一番お気に入りの彼の君ですよね!?!?
実は密かに、この2人ってどうなのよ!?と思っておりましたので、冒頭からの興奮になってしまいましたvv
続きをワクワクしながら待っておりますので、ご無理のない程度の更新頑張ってくださいませvv
コメントタイトルからやかましくて申し訳ございませんm(__)m
まずは、『あの日の君と風鈴の音』、遅らばせながら完結おめでとうございます♪
最後に2人が幸せになれて、私まで幸せのお裾分けをいただいた気分で嬉しくなっちゃいましたvv
そして、重ねて新連載の始動お疲れ様でございます。
店長さん編!読んで思わず興奮!!
この初恋の君ってのは、もしかしなくても私が一番お気に入りの彼の君ですよね!?!?
実は密かに、この2人ってどうなのよ!?と思っておりましたので、冒頭からの興奮になってしまいましたvv
続きをワクワクしながら待っておりますので、ご無理のない程度の更新頑張ってくださいませvv
水城 | 2007.12.16(日) 15:01 | URL | コメント編集
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店長編、アダルトにするつもりだったんですが、揉めただけであんまりアダルトにはならなかったんですよ(反省…)。
でもその分、ラストのHシーンで爆発させられればと思いますw
お暇な時に読んでいただけたら嬉しいです☆
またお越しくださいませ(^-^)