2008.01/24(Thu)
君に初恋、桜色。4−4
chapter4−4
(え……?なに、コレ……)
メールは予想に反して、全く下品な内容のものではなかった。それどころか、言葉の意味をそのまま受け取るなら、とても好意的な内容とも云えた。だが秋家は、とてもじゃないがそれを良い意味で受け取ることなどできるはずがなく、むしろ昨日までのメール以上の気味悪さを覚えた。
『こんど、家に遊びに行くからね』
不可解さに背中が寒くなり、意味もなく後ろを振り返る。妙に心臓をドキドキさせながら部屋中を眺め回した後、ハッとした秋家は慌てて玄関まで走って行き、何度も鍵がかかっていることを確認した。
呼吸が少し荒くなっていて、落ち着こうと一度深く息を吸い込み、ふぅーとそれを吐き出す。リビングに戻りソファに座ると、とにかく考えてみようと秋家は目を閉じた。
(落ち着けって……今すぐ来るわけでもないんだから……)
彼は一体、何をしたいんだろう。一度しか会っておらず、お互いのことなどほとんど何も知らないというのに。
気に入ったと言われはしたが、一度電話を無視したくらいで普通ここまでするだろうか。メールに返事をしないからそれがムカつく、という可能性も無くはないだろうが、ここまで嫌がらせするほどのこととも思えない。
(でもそれは、俺の認識がそうなだけ……?)
もしかしたら久家にとっては、それらがどうしようもないくらい腹が立つことだったのかもしれない。気が短い性格であることは、共に過ごしたあの僅かな時間からでもなんとなく想像はできたし、プライドも高そうな気がする。この俺を袖にして、という怒りが彼をこんな行動に走らせ、さらにどれだけエグい内容のメールを送っても、やっぱり返事を返さない秋家に苛立ちが上塗りされているのかもしれない。
それにしても少々やり過ぎのような気がするけれど、人の価値観など他人にはわからないものだし、久家にとっては、ひょっとするとイタズラ程度の軽い認識しかない可能性だって、充分に考えられる。
秋家がもし1番最初に来た、『会いたい。セックスしたい』というメールに、何言ってんの、と軽口で返事をしていれば、今こうはなっていなかったんじゃないか。真面目に受け取ってムッとして、返事をしなかったばかりに久家を苛立たせてしまったのか。これがもし彼と同じ年代の子ならば、バカじゃないの、程度で済ますような、なんでもないことなのかもしれないけれど。
(もうなんか、わかんないよ……若い子は、とか思いたくないけど、俺にはわからない……)
秋家だって、若い男が皆不可解であるなどと、本当は思いたくなんかない。実際若くてもしっかりした子はいくらでもいるし、逆に年を取っていてもどうしようもない人間もいるだろうし。
ただ、秋家は松橋のことが多少なりとトラウマになっていて、年下の男の若い行動力というものを、とにかく警戒してしまうのだ。
自分が20代前半の頃はどうだっただろうと考えてみるが、そもそも誰かに執着したこともなければ、何かに対して思い切った行動に出た記憶もないので、あまりピンとこなかった。
でも、一度関係した男がふざけてヤらせろ、と言ってきたら、応じるにしろ断るにしろ、同じようにふざけて返すくらいのことはできていたような気もする。
(メール、返してみようかな……)
まさか久家がこの家を知っているとは思えないが、実際松橋は教えていないのにここに来たのだ。絶対知るはずがない、とは思わない方がいいだろう。だとすれば、このまま彼を放置し、行動がエスカレートしていけば、いつか本当に家に来ることだってあるかもしれない。店の子達に迷惑をかけるのは絶対に嫌だから、もうあの時のような修羅場はなんとしても避けなければいけない。
まずはこの文章がどういう意味なのか確認するために、思い切ってストレートに『どういう意味?』と本文のところに書いた。少し躊躇いながら、えい、と送信ボタンを押して、やたらドキドキする心臓を落ち着かせようと、少しぬるくなってしまったアイスティーを飲む。
送信してから数分後、携帯の着信音が鳴り響いた。ディスプレイを見ると相手はむろん久家で、だがメールではなく電話をかけてきたことに驚き、秋家は反射的に取るのを迷った。だが、これを無視すればまた同じことの繰り返しになると思い、緊張しながらも通話ボタンを押す。
「……もしもし?」
『やっと返事してきたじゃん』
ろくに挨拶もなしに話す久家の声音は、特に怒った様子もなく普通だった。だがそれが意図の不明さを倍増させ、秋家の不安をさらにあおる。
「あのメールは、どういう意味?」
『どういうって?そのまんまの意味だけど』
「だ、だって、家なんか、知らないでしょ……」
『そー思う?行こうと思えば行けるよ、ホント。どうする?俺があんたんち行くか、あんたが出てくるか、どっちがいい?』
語尾を少し上げ気味に聞いてきた久家が、電話の向こうで笑っているのがわかった。笑い声こそ出さないが、秋家が困っているのがおもしろいとでもいうように、ニヤニヤしている感じが伝わってきて、すごく嫌な気分になった。
どうする?と聞かれても、家に来られるのは避けたい秋家にとって、選択権などないのも同然だった。
「……行くから。どうすれば、いいの?」
『そう。じゃあさ、今週木曜の11時、この前会った店でね。そんじゃ』
それだけ言うと、久家はあっさり電話を切った。まるでこっちの都合などおかまいなし、来るのが当然というような態度だ。
(勝手なことばっかり……)
秋家は携帯を閉じると、そのままソファに倒れこんだ。そして、失敗したな、と悔しさに唇を噛んだ。一晩だけだと思って、そういう相手を選んだつもりだったけれど。
今更後悔しても、もうどうにもならない。木曜には、会いに行かなければならない。
(今日は、最悪の日だ……)
石富のこと、久家のこと、全く質の違う出来事だったが、両方共心にずしりと重くのしかかる。だがいずれも自分で招いたことだから、誰を責めることもできない。
秋家はひどい自己嫌悪に陥り、今日もまた、眠れない夜を過ごした。
【More・・・】
当然のことながら、メールはやっぱり久家からだった。今日はどれだけ下品な内容だろうと、恐怖感の中にも少しの慣れを覚えながらメールを開く。だが短い本文に目を通した秋家は、驚いて目をパチパチと瞬かせた。(え……?なに、コレ……)
メールは予想に反して、全く下品な内容のものではなかった。それどころか、言葉の意味をそのまま受け取るなら、とても好意的な内容とも云えた。だが秋家は、とてもじゃないがそれを良い意味で受け取ることなどできるはずがなく、むしろ昨日までのメール以上の気味悪さを覚えた。
『こんど、家に遊びに行くからね』
不可解さに背中が寒くなり、意味もなく後ろを振り返る。妙に心臓をドキドキさせながら部屋中を眺め回した後、ハッとした秋家は慌てて玄関まで走って行き、何度も鍵がかかっていることを確認した。
呼吸が少し荒くなっていて、落ち着こうと一度深く息を吸い込み、ふぅーとそれを吐き出す。リビングに戻りソファに座ると、とにかく考えてみようと秋家は目を閉じた。
(落ち着けって……今すぐ来るわけでもないんだから……)
彼は一体、何をしたいんだろう。一度しか会っておらず、お互いのことなどほとんど何も知らないというのに。
気に入ったと言われはしたが、一度電話を無視したくらいで普通ここまでするだろうか。メールに返事をしないからそれがムカつく、という可能性も無くはないだろうが、ここまで嫌がらせするほどのこととも思えない。
(でもそれは、俺の認識がそうなだけ……?)
もしかしたら久家にとっては、それらがどうしようもないくらい腹が立つことだったのかもしれない。気が短い性格であることは、共に過ごしたあの僅かな時間からでもなんとなく想像はできたし、プライドも高そうな気がする。この俺を袖にして、という怒りが彼をこんな行動に走らせ、さらにどれだけエグい内容のメールを送っても、やっぱり返事を返さない秋家に苛立ちが上塗りされているのかもしれない。
それにしても少々やり過ぎのような気がするけれど、人の価値観など他人にはわからないものだし、久家にとっては、ひょっとするとイタズラ程度の軽い認識しかない可能性だって、充分に考えられる。
秋家がもし1番最初に来た、『会いたい。セックスしたい』というメールに、何言ってんの、と軽口で返事をしていれば、今こうはなっていなかったんじゃないか。真面目に受け取ってムッとして、返事をしなかったばかりに久家を苛立たせてしまったのか。これがもし彼と同じ年代の子ならば、バカじゃないの、程度で済ますような、なんでもないことなのかもしれないけれど。
(もうなんか、わかんないよ……若い子は、とか思いたくないけど、俺にはわからない……)
秋家だって、若い男が皆不可解であるなどと、本当は思いたくなんかない。実際若くてもしっかりした子はいくらでもいるし、逆に年を取っていてもどうしようもない人間もいるだろうし。
ただ、秋家は松橋のことが多少なりとトラウマになっていて、年下の男の若い行動力というものを、とにかく警戒してしまうのだ。
自分が20代前半の頃はどうだっただろうと考えてみるが、そもそも誰かに執着したこともなければ、何かに対して思い切った行動に出た記憶もないので、あまりピンとこなかった。
でも、一度関係した男がふざけてヤらせろ、と言ってきたら、応じるにしろ断るにしろ、同じようにふざけて返すくらいのことはできていたような気もする。
(メール、返してみようかな……)
まさか久家がこの家を知っているとは思えないが、実際松橋は教えていないのにここに来たのだ。絶対知るはずがない、とは思わない方がいいだろう。だとすれば、このまま彼を放置し、行動がエスカレートしていけば、いつか本当に家に来ることだってあるかもしれない。店の子達に迷惑をかけるのは絶対に嫌だから、もうあの時のような修羅場はなんとしても避けなければいけない。
まずはこの文章がどういう意味なのか確認するために、思い切ってストレートに『どういう意味?』と本文のところに書いた。少し躊躇いながら、えい、と送信ボタンを押して、やたらドキドキする心臓を落ち着かせようと、少しぬるくなってしまったアイスティーを飲む。
送信してから数分後、携帯の着信音が鳴り響いた。ディスプレイを見ると相手はむろん久家で、だがメールではなく電話をかけてきたことに驚き、秋家は反射的に取るのを迷った。だが、これを無視すればまた同じことの繰り返しになると思い、緊張しながらも通話ボタンを押す。
「……もしもし?」
『やっと返事してきたじゃん』
ろくに挨拶もなしに話す久家の声音は、特に怒った様子もなく普通だった。だがそれが意図の不明さを倍増させ、秋家の不安をさらにあおる。
「あのメールは、どういう意味?」
『どういうって?そのまんまの意味だけど』
「だ、だって、家なんか、知らないでしょ……」
『そー思う?行こうと思えば行けるよ、ホント。どうする?俺があんたんち行くか、あんたが出てくるか、どっちがいい?』
語尾を少し上げ気味に聞いてきた久家が、電話の向こうで笑っているのがわかった。笑い声こそ出さないが、秋家が困っているのがおもしろいとでもいうように、ニヤニヤしている感じが伝わってきて、すごく嫌な気分になった。
どうする?と聞かれても、家に来られるのは避けたい秋家にとって、選択権などないのも同然だった。
「……行くから。どうすれば、いいの?」
『そう。じゃあさ、今週木曜の11時、この前会った店でね。そんじゃ』
それだけ言うと、久家はあっさり電話を切った。まるでこっちの都合などおかまいなし、来るのが当然というような態度だ。
(勝手なことばっかり……)
秋家は携帯を閉じると、そのままソファに倒れこんだ。そして、失敗したな、と悔しさに唇を噛んだ。一晩だけだと思って、そういう相手を選んだつもりだったけれど。
今更後悔しても、もうどうにもならない。木曜には、会いに行かなければならない。
(今日は、最悪の日だ……)
石富のこと、久家のこと、全く質の違う出来事だったが、両方共心にずしりと重くのしかかる。だがいずれも自分で招いたことだから、誰を責めることもできない。
秋家はひどい自己嫌悪に陥り、今日もまた、眠れない夜を過ごした。
●うずらたまごさま
遠麗 | 2008.01.26(土) 23:30 | URL | コメント編集
●れおんさま
いらっしゃいまし〜♪
なんかマジでホラーな展開ww
でも大丈夫!
どんどんネガティブに追い込んでw、それから超ハッピーにしますよ!
いつになるかわからないですけど…
がんばんなきゃ、と思いつつ、中々進まない…
主役のはずなのに石富があんまり出ないしw
ヤツはこれからです!w
それではまたお越しください♪
なんかマジでホラーな展開ww
でも大丈夫!
どんどんネガティブに追い込んでw、それから超ハッピーにしますよ!
いつになるかわからないですけど…
がんばんなきゃ、と思いつつ、中々進まない…
主役のはずなのに石富があんまり出ないしw
ヤツはこれからです!w
それではまたお越しください♪
遠麗 | 2008.01.26(土) 23:27 | URL | コメント編集
●
どもども初めまして。うずらたまごです。
うちの辺境ブログに挨拶にきてくださってどうもありがとうございました。m(_ _)m
粗茶もなんも出せませんでしたが。(笑)
またよければいつでも遊びにきてください。
ではでは。執筆頑張ってくださいね。(^ ^)ノ
うちの辺境ブログに挨拶にきてくださってどうもありがとうございました。m(_ _)m
粗茶もなんも出せませんでしたが。(笑)
またよければいつでも遊びにきてください。
ではでは。執筆頑張ってくださいね。(^ ^)ノ
卯月 | 2008.01.25(金) 05:41 | URL | コメント編集
●KOE〜〜〜!!!
こえ〜〜〜こえ〜よ、久家くん…(@_@;)すとーかーだ!!ホラーだ…!!
逃げて!!秋家さん!!
行っちゃダメだ!!
どんどん衰弱していく秋家さんが心配です★石富さん、助けてあげて!!
続きが楽しみです♪
逃げて!!秋家さん!!
行っちゃダメだ!!
どんどん衰弱していく秋家さんが心配です★石富さん、助けてあげて!!
続きが楽しみです♪
れおん | 2008.01.24(木) 21:53 | URL | コメント編集
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うずらたまごさんもがんばってください☆
妄想を文章にするのは難しいですねw
お互いがんばりましょう(^^)