2008.02/20(Wed)
君に初恋、桜色。8−1
chapter8−1
「ああ」
秋家はファンヒーターとこたつのスイッチを入れ、キッチンに立った。
食器棚からカップを2つ取り出し、石富にはブルーマウンテンをドリップしてカップに注ぎ、自分は市販のティーバッグでアップルティーを入れる。トレイに乗せこたつに持っていくと、サンキュ、と言った石富はブラックのまま一口飲んだ。
「うまいな」
「そうかな、ありがとう」
一応プロですから、と付け加えると、石富は確かに、と言って笑った。
さっきまで1階の店舗にいたのだが、経費削減とエコのため、休みの日はできるだけ店舗の電力は消費しない、というのが秋家の決め事なので、エアコンをつけられない店舗から自宅に上がってきた。
石富がここに来るのは、熱で寝込んでいた日以来だ。あれから1ヶ月弱、ずっと久家の嫌がらせで神経をすり減らし、ストレスで不眠症の毎日を送ってきたが、今日その久家の行動の理由がわかり、ひとまずの安心は得られた。
だがまだ、自分自身の問題はなんら、解決されていないわけで。
(どうしよ……何から話せばいいんだろ……)
とりあえず、石富と松橋が一緒に来た理由を知りたいと思うのだが、ああいった状況になるに至った経緯を先に自分が話すべきだろうか、と考える。
だがすぐには口を開くことができず、秋家は石富の座っている右側に腰を下ろし、しばらく黙ってアップルティーを飲んだ。
「さて、と」
短い沈黙の後、石富がカップを置いて言った。秋家はドキッとして、自分もカップを置いて気持ち背筋を伸ばす。
「昨日の続きだ……お前、ずっと様子が変だったの、あの久家ってガキのせいだったんだな」
「……うん、言えなくてごめん」
これから知り合った経緯を話さなくてはいけないのかと思うと、少々でなく気持ちが沈む。
『2丁目のゲイバーでナンパされた』なんて、ノーマルの石富には聞くに堪えないような話だろうから。
でも、言わないと。
そう腹を括ったが、秋家が口を開くより先に、石富があのな、と話し始めた。卑怯にも心のどこかでホッとしつつ、その声に耳を傾ける。
「松橋のこと、気になるだろ」
「え……」
「なんで俺と一緒に来たのか、気になんねーか?」
それは当然、めちゃくちゃ気になる。
やっぱり一緒に来たんだ、と思いながら、秋家は石富の目を見て言った。
「すごく、気になる……」
「だろうな……2年前な、お前が松橋にストーカーされてるって、えつみが俺に言ってきたんだ」
「え……えっちゃんが……?」
確かに、心配してくれたえつみに松橋のことを話しはした。だがそんなに詳しくではなく、かいつまんで聞かせた程度だったはずだ。それをストーカーとは、ずいぶんと大袈裟に石富に伝わっているような気がして、秋家は慌ててその言葉を否定した。今更だろうけれど。
「ストーカーなんて、大袈裟だよ……!ただちょっと、困った程度だってば……」
「……えつみに言わせりゃそれも立派なストーカーらしいぜ?まぁ、それでな……大人気ねーとは思うが、やっぱり俺には何も言わねーのかって、ちょっと……ムカついてよ……」
石富は気恥ずかしそうに、もごもごと言葉を濁し視線を逸らせた。そんな石富の反応に、思わず秋家も視線を下に向けてしまう。
「あ、ご、ごめん……本当に俺、いつも何も言わないで隠してて……えっちゃんは、けっこうしつこく聞いてきて、その……しょうがなくっていうか……」
えつみ曰く、彼女は誰かが悩んでいて、自分がその原因に心当たりがある場合、気になって仕方がなくなるらしい。
あの時の秋家にしても、大方あの怒鳴り込んできた彼氏のことじゃないのか、と思っていたらしかったが、だが相手が話さないことを無理に聞き出すのも気が引けるということで、しばらくは様子を見ていたそうなのだ。
だが一向に秋家の状態は良くならず、むしろ顔色は悪くなる一方で、さすがに堪えかねて聞いているのだ、と当時怒ったえつみは言っていた。
「いや、それはいいんだ。謝るな。俺はお前には何も聞かなかったんだから。まぁ、それでな……俺もあの時どうかしてたのかもしれねーんだけど、お前に聞けねーなら、その……相手に聞いてやろうって思ったんだ」
「………?」
石富の言ったことが、すぐにはよくわからなかった。でも、『相手に』ということと、今日石富と松橋が一緒にいた事実から、考えられることは1つしかない。
「まぁ、要するに、松橋本人を締め上げたわけだな」
「な……」
直接会ったんだろう、とは思ったが、締め上げた、とはなんとも穏やかではない。ビックリして顔を上げ、秋家はばつが悪そうに話す石富の顔を見つめた。
「夜にさ、お前のこと待ってたあいつ見つけて、駐車場まで連れてってな。俺もイラついてたが、あいつも俺のことムカついてたみたいでよ。思ったより、その……揉めたんだ」
「も、揉めたって……」
揉めた、というのがどの程度のことなのか、石富は細かく言わなかった。言えば秋家が気にすると思ってなのか、石富本人があまり言いたくない話なのか。でも、とても『話し合い』だけで片付いたとは、思えない。
でも、石富がこんな自分のために、ここまでしてくれたと思ったら、秋家の心臓が律動を速めた。その動きに、ひどく戸惑う。これは嬉しいのか、申し訳ないのか、自分でもよくわからなかったから。
「まぁ、それでな。ちょっとだけ、卑怯なことも言ったりなんかしてよ……二度と来ないように、約束させた」
「え……」
約束、させた……?
えつみに話した後、一回りも年下の女の子に心配させるのも心苦しいと、松橋に別れてほしいときちんとお願いした。だが、すぐには聞き入れてもらえず、その後何日かは変わらず家に来たりしていたが、確かに突然、松橋からの連絡がぱったり無くなった。
(あれは、剣二のおかげだったんだ……!)
気にはなっていたのだ。あれだけ秋家を好きだと言っていた松橋が、別れ話を承諾したわけでもないのに、突如連絡をしてこなくなった。不可解ではあったが、誰に聞くわけにもいかず、そのままにしていたのだけれど。
まさかその背景に、石富の姿があったなんて――
(どうしたら、いいんだろう……)
自分はこの事実を、どう受け止めればいいのだろう。嬉しい、ありがとうと、素直に喜ぶには、今聞いたこの事実も、そして昨日、久美子に聞いた話も、とても重い。
だがそれはもちろん、不快な重さではなく、どうしていいのかわからない、戸惑いの重さだ。
石富は、どうして、なぜ、ここまでしてくれるのだろう。
あれだけ嘘をついて逃げた秋家のために、出世の真っ只中にあったレストランをあっさり辞め、そしてそのせいで、久美子と離婚までした。
そしてこんどは、秋家のために松橋と――
秋家はたまらなくなって、俯いてギュッと拳を握りしめた。
石富は、さらに話を続ける。
「それでな、最近お前の様子がおかしいの、ひょっとしてまた松橋がなんかしてきたのかと思ったんだ。……で、あん時お前にかかってきた久家ってガキの声聞いて、違ったのか、って思ったんだが……そん時にあいつがよ、『ずいぶん家に来られるの嫌がるけど、昔なんかあったのかなー』みたいなこと嫌味っぽく言いやがってな。それで、ひょっとしてこいつ、お前と松橋のこと知ってんじゃねーかって思ったんだ。
それで今日、松橋に聞きに行ったら、案の定、久家を知ってるって言うじゃねーか。だから久家呼べっつって連絡させたんだけど、何回電話しても出ねぇし、あげく電源切りやがって。で、まさか、と思って店に来てみたら……ビックリしたぜ。カッときて思わずあのガキ投げ飛ばしちまったよ。
松橋に、ムカつくかもしんねーけど、あんたは手も口も出さないでくれって頼まれてたんだけどな。あいつ、俺の責任だから、俺がなんとかするっつって聞かなくてよ」
なんか2年前と雰囲気変わってたな、と松橋について石富はこう付け加えた。
用事があると言っていたのは、松橋に会いに行くためだったのか。
ここまでしてもらって、ますます胸が締め付けられて、息が苦しくなった。
言葉が見つからず、なんと言っていいか秋家が迷っていると、石富が遠慮がちに言う。
「……もしかして、引いてるか……?」
黙っている秋家に、不安そうな声で石富は問うてくる。しゃべらないから、秋家が自分の話に引いていると思ったらしい。
秋家は首を横にぶんぶんと振り、それを否定する。
「違うよ……!ビックリしてるけど、そうじゃない……ありがとう。俺、全然知らなかった……」
自分は、知らない間にずっと石富に守られてきたのだ。
親友だから、という理由で、ここまでしてしまうのが石富だと、思えなくもない。
昔から友達を大事にする人間だったし、だから男友達はすごく多かった。その中でも秋家は『親友』という位置にあり、そのたくさんの友達の中でも最優先されていて、それは優越感であると同時に、絶望感でもあった。
でも、今になってもここまで大事にしてくれることを、その範疇を超えていると思ってしまうのは、自分がそうであってほしいと浅ましくも期待しているからだろうか。
それとも、あの頃と石富の気持ちは全く変わっておらず、だから秋家のことを誰よりも最優先に考えてくれているだけで、いき過ぎではあるが、石富にすれば友情の範囲であるのか。
もし、そうなら。
(残酷だね、剣二……)
だが覚悟を決めた以上、たとえそうであっても、もう逃げたりはしない。
お互い全部話そうと、石富と約束した。それを嘘には、したくないから。
【More・・・】
「座っててね。コーヒーでいい?」「ああ」
秋家はファンヒーターとこたつのスイッチを入れ、キッチンに立った。
食器棚からカップを2つ取り出し、石富にはブルーマウンテンをドリップしてカップに注ぎ、自分は市販のティーバッグでアップルティーを入れる。トレイに乗せこたつに持っていくと、サンキュ、と言った石富はブラックのまま一口飲んだ。
「うまいな」
「そうかな、ありがとう」
一応プロですから、と付け加えると、石富は確かに、と言って笑った。
さっきまで1階の店舗にいたのだが、経費削減とエコのため、休みの日はできるだけ店舗の電力は消費しない、というのが秋家の決め事なので、エアコンをつけられない店舗から自宅に上がってきた。
石富がここに来るのは、熱で寝込んでいた日以来だ。あれから1ヶ月弱、ずっと久家の嫌がらせで神経をすり減らし、ストレスで不眠症の毎日を送ってきたが、今日その久家の行動の理由がわかり、ひとまずの安心は得られた。
だがまだ、自分自身の問題はなんら、解決されていないわけで。
(どうしよ……何から話せばいいんだろ……)
とりあえず、石富と松橋が一緒に来た理由を知りたいと思うのだが、ああいった状況になるに至った経緯を先に自分が話すべきだろうか、と考える。
だがすぐには口を開くことができず、秋家は石富の座っている右側に腰を下ろし、しばらく黙ってアップルティーを飲んだ。
「さて、と」
短い沈黙の後、石富がカップを置いて言った。秋家はドキッとして、自分もカップを置いて気持ち背筋を伸ばす。
「昨日の続きだ……お前、ずっと様子が変だったの、あの久家ってガキのせいだったんだな」
「……うん、言えなくてごめん」
これから知り合った経緯を話さなくてはいけないのかと思うと、少々でなく気持ちが沈む。
『2丁目のゲイバーでナンパされた』なんて、ノーマルの石富には聞くに堪えないような話だろうから。
でも、言わないと。
そう腹を括ったが、秋家が口を開くより先に、石富があのな、と話し始めた。卑怯にも心のどこかでホッとしつつ、その声に耳を傾ける。
「松橋のこと、気になるだろ」
「え……」
「なんで俺と一緒に来たのか、気になんねーか?」
それは当然、めちゃくちゃ気になる。
やっぱり一緒に来たんだ、と思いながら、秋家は石富の目を見て言った。
「すごく、気になる……」
「だろうな……2年前な、お前が松橋にストーカーされてるって、えつみが俺に言ってきたんだ」
「え……えっちゃんが……?」
確かに、心配してくれたえつみに松橋のことを話しはした。だがそんなに詳しくではなく、かいつまんで聞かせた程度だったはずだ。それをストーカーとは、ずいぶんと大袈裟に石富に伝わっているような気がして、秋家は慌ててその言葉を否定した。今更だろうけれど。
「ストーカーなんて、大袈裟だよ……!ただちょっと、困った程度だってば……」
「……えつみに言わせりゃそれも立派なストーカーらしいぜ?まぁ、それでな……大人気ねーとは思うが、やっぱり俺には何も言わねーのかって、ちょっと……ムカついてよ……」
石富は気恥ずかしそうに、もごもごと言葉を濁し視線を逸らせた。そんな石富の反応に、思わず秋家も視線を下に向けてしまう。
「あ、ご、ごめん……本当に俺、いつも何も言わないで隠してて……えっちゃんは、けっこうしつこく聞いてきて、その……しょうがなくっていうか……」
えつみ曰く、彼女は誰かが悩んでいて、自分がその原因に心当たりがある場合、気になって仕方がなくなるらしい。
あの時の秋家にしても、大方あの怒鳴り込んできた彼氏のことじゃないのか、と思っていたらしかったが、だが相手が話さないことを無理に聞き出すのも気が引けるということで、しばらくは様子を見ていたそうなのだ。
だが一向に秋家の状態は良くならず、むしろ顔色は悪くなる一方で、さすがに堪えかねて聞いているのだ、と当時怒ったえつみは言っていた。
「いや、それはいいんだ。謝るな。俺はお前には何も聞かなかったんだから。まぁ、それでな……俺もあの時どうかしてたのかもしれねーんだけど、お前に聞けねーなら、その……相手に聞いてやろうって思ったんだ」
「………?」
石富の言ったことが、すぐにはよくわからなかった。でも、『相手に』ということと、今日石富と松橋が一緒にいた事実から、考えられることは1つしかない。
「まぁ、要するに、松橋本人を締め上げたわけだな」
「な……」
直接会ったんだろう、とは思ったが、締め上げた、とはなんとも穏やかではない。ビックリして顔を上げ、秋家はばつが悪そうに話す石富の顔を見つめた。
「夜にさ、お前のこと待ってたあいつ見つけて、駐車場まで連れてってな。俺もイラついてたが、あいつも俺のことムカついてたみたいでよ。思ったより、その……揉めたんだ」
「も、揉めたって……」
揉めた、というのがどの程度のことなのか、石富は細かく言わなかった。言えば秋家が気にすると思ってなのか、石富本人があまり言いたくない話なのか。でも、とても『話し合い』だけで片付いたとは、思えない。
でも、石富がこんな自分のために、ここまでしてくれたと思ったら、秋家の心臓が律動を速めた。その動きに、ひどく戸惑う。これは嬉しいのか、申し訳ないのか、自分でもよくわからなかったから。
「まぁ、それでな。ちょっとだけ、卑怯なことも言ったりなんかしてよ……二度と来ないように、約束させた」
「え……」
約束、させた……?
えつみに話した後、一回りも年下の女の子に心配させるのも心苦しいと、松橋に別れてほしいときちんとお願いした。だが、すぐには聞き入れてもらえず、その後何日かは変わらず家に来たりしていたが、確かに突然、松橋からの連絡がぱったり無くなった。
(あれは、剣二のおかげだったんだ……!)
気にはなっていたのだ。あれだけ秋家を好きだと言っていた松橋が、別れ話を承諾したわけでもないのに、突如連絡をしてこなくなった。不可解ではあったが、誰に聞くわけにもいかず、そのままにしていたのだけれど。
まさかその背景に、石富の姿があったなんて――
(どうしたら、いいんだろう……)
自分はこの事実を、どう受け止めればいいのだろう。嬉しい、ありがとうと、素直に喜ぶには、今聞いたこの事実も、そして昨日、久美子に聞いた話も、とても重い。
だがそれはもちろん、不快な重さではなく、どうしていいのかわからない、戸惑いの重さだ。
石富は、どうして、なぜ、ここまでしてくれるのだろう。
あれだけ嘘をついて逃げた秋家のために、出世の真っ只中にあったレストランをあっさり辞め、そしてそのせいで、久美子と離婚までした。
そしてこんどは、秋家のために松橋と――
秋家はたまらなくなって、俯いてギュッと拳を握りしめた。
石富は、さらに話を続ける。
「それでな、最近お前の様子がおかしいの、ひょっとしてまた松橋がなんかしてきたのかと思ったんだ。……で、あん時お前にかかってきた久家ってガキの声聞いて、違ったのか、って思ったんだが……そん時にあいつがよ、『ずいぶん家に来られるの嫌がるけど、昔なんかあったのかなー』みたいなこと嫌味っぽく言いやがってな。それで、ひょっとしてこいつ、お前と松橋のこと知ってんじゃねーかって思ったんだ。
それで今日、松橋に聞きに行ったら、案の定、久家を知ってるって言うじゃねーか。だから久家呼べっつって連絡させたんだけど、何回電話しても出ねぇし、あげく電源切りやがって。で、まさか、と思って店に来てみたら……ビックリしたぜ。カッときて思わずあのガキ投げ飛ばしちまったよ。
松橋に、ムカつくかもしんねーけど、あんたは手も口も出さないでくれって頼まれてたんだけどな。あいつ、俺の責任だから、俺がなんとかするっつって聞かなくてよ」
なんか2年前と雰囲気変わってたな、と松橋について石富はこう付け加えた。
用事があると言っていたのは、松橋に会いに行くためだったのか。
ここまでしてもらって、ますます胸が締め付けられて、息が苦しくなった。
言葉が見つからず、なんと言っていいか秋家が迷っていると、石富が遠慮がちに言う。
「……もしかして、引いてるか……?」
黙っている秋家に、不安そうな声で石富は問うてくる。しゃべらないから、秋家が自分の話に引いていると思ったらしい。
秋家は首を横にぶんぶんと振り、それを否定する。
「違うよ……!ビックリしてるけど、そうじゃない……ありがとう。俺、全然知らなかった……」
自分は、知らない間にずっと石富に守られてきたのだ。
親友だから、という理由で、ここまでしてしまうのが石富だと、思えなくもない。
昔から友達を大事にする人間だったし、だから男友達はすごく多かった。その中でも秋家は『親友』という位置にあり、そのたくさんの友達の中でも最優先されていて、それは優越感であると同時に、絶望感でもあった。
でも、今になってもここまで大事にしてくれることを、その範疇を超えていると思ってしまうのは、自分がそうであってほしいと浅ましくも期待しているからだろうか。
それとも、あの頃と石富の気持ちは全く変わっておらず、だから秋家のことを誰よりも最優先に考えてくれているだけで、いき過ぎではあるが、石富にすれば友情の範囲であるのか。
もし、そうなら。
(残酷だね、剣二……)
だが覚悟を決めた以上、たとえそうであっても、もう逃げたりはしない。
お互い全部話そうと、石富と約束した。それを嘘には、したくないから。
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